文字の旅人
読者からのメール
- 2009-06-01 (Mon)
- 旅人の目
最近のこのブログの不調な書き込みを読まれ,心配して私にメールをくださる方がいくつかあった。心配を掛けてしまったことに恐縮する一方で,励みになる大変ありがたいものである。
ただ,いろいろあって体調が優れないのは事実だが,自分に自信をなくしているのではないことをお断りしておく。かなりそれに近い状況はあるのだが,まだそこまではいっていないのでご安心いただきたい。
私ごとばかりで恐縮だが,独自のスタイルを作るために,具象なものごとに縛りつける刷り込みを避け,先ず「でたらめ」からの脱却に向けて前向きに取り組んでいる。10年単位の時間が必要だと思われるが,取り組みを続けているので温かく見守っていただきたい。
ただ,いろいろあって体調が優れないのは事実だが,自分に自信をなくしているのではないことをお断りしておく。かなりそれに近い状況はあるのだが,まだそこまではいっていないのでご安心いただきたい。
私ごとばかりで恐縮だが,独自のスタイルを作るために,具象なものごとに縛りつける刷り込みを避け,先ず「でたらめ」からの脱却に向けて前向きに取り組んでいる。10年単位の時間が必要だと思われるが,取り組みを続けているので温かく見守っていただきたい。
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お詫び
- 2009-05-31 (Sun)
- 旅人の目
以前「ヒラギノ角ゴシックと文字のウエイトについて」(初出「文字のウエイトについて」)で,「組版のプロの現場では,〔…〕イワタのオールド系の明朝体では細明朝体しか使われません」と書いたのだが,これは表現に言葉足らずのところがあり,論理的にも問題があり不適切であった。
活版,写植と長きに渡って高く評価されている,岩田母型の明朝体の本文における適正の高さを意識したものであったが,デジタルフォントでは細明朝体だけでなく,中明朝体も本文において使い出があるものであるので訂正する。関係者に不快な思いをさせたことをお詫びさせていただく。
活版,写植と長きに渡って高く評価されている,岩田母型の明朝体の本文における適正の高さを意識したものであったが,デジタルフォントでは細明朝体だけでなく,中明朝体も本文において使い出があるものであるので訂正する。関係者に不快な思いをさせたことをお詫びさせていただく。
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一般にもおすすめできる文字の本
- 2009-05-28 (Thu)
- 旅人の目
先日ご紹介した『プルーストとイカ』に関して「少し難しい」という声をいくつかいただいたので,一般の方にもおすすめできる文字の本として,最近読んだ本の中からもう一冊ご紹介させていただく。
今回ご紹介するのは『文字の骨組み』という本で,書道家であり,ブックデザイナーであり,印刷史にも通じる多才な著者,大熊肇氏が文字の「字体」を多面的に考察した内容となっている。
注意深く噛み砕いた言葉が使われており,職業で文字に関わる人の間でも難しいと言われることがある「字体」についての話しを非常に楽な気持ちで読むことができる。さらに,図版を豊富に用い,重要語句は太字にしたり色を着け,巻末にはよく引用される資料を収録するなどの工夫を凝らして積極的に説明されている。後半は,エッセイのような50ものトピックが掲載されているので,テンポよく,雑学本のように楽しく読んでいただけると思う。
私の場合は,仕事ではもちろん,息子に文字の書き方を教えるときにも役立っており大変重宝している。『文字の骨組み』は間違いないなくおすすめできる一冊である。
今回ご紹介するのは『文字の骨組み』という本で,書道家であり,ブックデザイナーであり,印刷史にも通じる多才な著者,大熊肇氏が文字の「字体」を多面的に考察した内容となっている。
注意深く噛み砕いた言葉が使われており,職業で文字に関わる人の間でも難しいと言われることがある「字体」についての話しを非常に楽な気持ちで読むことができる。さらに,図版を豊富に用い,重要語句は太字にしたり色を着け,巻末にはよく引用される資料を収録するなどの工夫を凝らして積極的に説明されている。後半は,エッセイのような50ものトピックが掲載されているので,テンポよく,雑学本のように楽しく読んでいただけると思う。
私の場合は,仕事ではもちろん,息子に文字の書き方を教えるときにも役立っており大変重宝している。『文字の骨組み』は間違いないなくおすすめできる一冊である。
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文字を担える人の要件
- 2009-05-24 (Sun)
- 旅人の目
今日は印刷業界で文字の分野と呼ばれている組版やタイポグラフィーの分野を担うことができる人の必要条件について考えてみた。以下重要度の高い順に挙げてみる。1. 読書の習慣が生活の中に溶け込んでいること。2. 日本の印刷の歴史に関する知識。3. 字体の知識。4. 情報工学の知識。5. 関係各所との文字を通したコミュニケーション能力。これに加え,組版システムの操作,書道やレタリングといった文字を書く技能,認知心理学の知識といったものが少しあると良いと思う。
少しだけ説明を加えると,読書の習慣は別格に重要なものだと思う。これは「色を担える人」で挙げたデッサンや絵画の技能に似たところがあると私は考えている。「見る目」や「センス」という表現では少し乱暴だと思うので言葉での説明を試みると,頭の中にある五感で感じ取った複雑な情報のデータベースと客観的な理論や知識と現在の状況とを照合して判断する能力ということになるのではないかと思う。組版におけるこの能力は読書によって養われるものだと思う。
次に,なぜ印刷の歴史を二番目に持ってきたかというと,先輩達が行ってきたことを知らなければ活字を選ぶことや文字を並べることがままならないと思うからである。築地の五号が良いとか,岩田母型が良いとか,精興社が良いとか,写研のMM-A-OKLが良いのかどうかということは,歴史的な立体感を掴んで初めて理解できるものだと思う。文字を並べることにも同じようなことが言えると思う。
3つめに字体の知識を挙げた理由は,文字の字体や記号類の使い方が情報の内容や機能に深く関係するからである。また,文字コードと字体は単純な1対1の関係ではなく,どういう字体が表示されるのかはフォントによって異なる。さらに,デザイン差というものもあり字種が同じで一見同じでも実は違うということが往々にしてある。こういった繊細な事柄に適切に対応する能力が求められる。
これらの要件は,その条件を満たしているとも,適正として向いているとも言えない私が独断で挙げたものなので,その点をお含みおきいただきたい。
少しだけ説明を加えると,読書の習慣は別格に重要なものだと思う。これは「色を担える人」で挙げたデッサンや絵画の技能に似たところがあると私は考えている。「見る目」や「センス」という表現では少し乱暴だと思うので言葉での説明を試みると,頭の中にある五感で感じ取った複雑な情報のデータベースと客観的な理論や知識と現在の状況とを照合して判断する能力ということになるのではないかと思う。組版におけるこの能力は読書によって養われるものだと思う。
次に,なぜ印刷の歴史を二番目に持ってきたかというと,先輩達が行ってきたことを知らなければ活字を選ぶことや文字を並べることがままならないと思うからである。築地の五号が良いとか,岩田母型が良いとか,精興社が良いとか,写研のMM-A-OKLが良いのかどうかということは,歴史的な立体感を掴んで初めて理解できるものだと思う。文字を並べることにも同じようなことが言えると思う。
3つめに字体の知識を挙げた理由は,文字の字体や記号類の使い方が情報の内容や機能に深く関係するからである。また,文字コードと字体は単純な1対1の関係ではなく,どういう字体が表示されるのかはフォントによって異なる。さらに,デザイン差というものもあり字種が同じで一見同じでも実は違うということが往々にしてある。こういった繊細な事柄に適切に対応する能力が求められる。
これらの要件は,その条件を満たしているとも,適正として向いているとも言えない私が独断で挙げたものなので,その点をお含みおきいただきたい。
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これまでの反省
- 2009-05-23 (Sat)
- 旅人の目
お気づきだとは思うが,ここのところ少し趣向を変えて書いている。どこまでアクセス数が減るのだろうと思いながらアクセス解析を見ていたところ,遂にこれまでの何も書かない日の方が多いというところまできた。書いても数十といったところだ。これを見ていただいている方は本当の友か,もしくはその対極にいらっしゃる方かというところになった。
しかし,これでようやく本来の姿になったのではないかと思う。ブログでいろいろな繋がりが増えたのは大変ありがたいことなのだが,アクセス数を意識するあまり私は自分を見失いかけていたところがあったと思っている。
「Linotype Universは素晴らしい」「写研のゴナはカッコいい」「若者の間で活版が注目を集めている」というようなことを書けばとたんに数百に戻るのだろうが,そういったことを私が書いても意味がないし,自分自身あまり楽しくもない。そして,世の中の役に立つとも思えない。ましてや文字の世界の姿を伝えるうえで誤解を招く元凶だったのではないかと思い反省している。
そういうことから少し見直しを行うべきだと思うようになったのである。これは,方向転換というような大げさなものではない。初心に立ち返って,楽しいことは何か,役立つことは何か,ということをより深く考えて取り組んでいきたいと思っている。
しかし,これでようやく本来の姿になったのではないかと思う。ブログでいろいろな繋がりが増えたのは大変ありがたいことなのだが,アクセス数を意識するあまり私は自分を見失いかけていたところがあったと思っている。
「Linotype Universは素晴らしい」「写研のゴナはカッコいい」「若者の間で活版が注目を集めている」というようなことを書けばとたんに数百に戻るのだろうが,そういったことを私が書いても意味がないし,自分自身あまり楽しくもない。そして,世の中の役に立つとも思えない。ましてや文字の世界の姿を伝えるうえで誤解を招く元凶だったのではないかと思い反省している。
そういうことから少し見直しを行うべきだと思うようになったのである。これは,方向転換というような大げさなものではない。初心に立ち返って,楽しいことは何か,役立つことは何か,ということをより深く考えて取り組んでいきたいと思っている。
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私のやりたいことについて
- 2009-05-22 (Fri)
- 旅人の目
以前,印刷史研究家の府川充男氏の奥様から「あなたは何がしたいの?」という質問をいただいた際に,よく「何がしたいのか分からない」と言われることと混同して回りくどい説明になってしまい,うまく答えられないことがあった。恐らくこの場面以外でもそういう話しをしてきていると思うので,ここに私が何をしたいのかということを残しておきたいと思う。
私がやりたいことを平たく言うと「印刷の世界を良くしたい」ということである。印刷の世界を主体性と誇りがあり,知的で,文化的にも経済的にも豊かなものにしたいと思っている。
この目標から私は遠いところにいると思っている。しかし,この世界にいる者としてはそこを目指し,そしてやり遂げなくてはいけないと思っている。お客様は言うに及ばず,そこに生きる人,そして経営者までもがこの世界を見下しているような状態を私は承服できない。
私は,主体性と誇りがあり,知的で,文化的にも経済的にも豊かな社会を作りたいと思っている。
私がやりたいことを平たく言うと「印刷の世界を良くしたい」ということである。印刷の世界を主体性と誇りがあり,知的で,文化的にも経済的にも豊かなものにしたいと思っている。
この目標から私は遠いところにいると思っている。しかし,この世界にいる者としてはそこを目指し,そしてやり遂げなくてはいけないと思っている。お客様は言うに及ばず,そこに生きる人,そして経営者までもがこの世界を見下しているような状態を私は承服できない。
私は,主体性と誇りがあり,知的で,文化的にも経済的にも豊かな社会を作りたいと思っている。
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不機嫌な職場と自助論
- 2009-05-18 (Mon)
- 旅人の目
今日は最近仕事の上で参考にしている,河合太介(他)による『不機嫌な職場』とサミュエル・スマイルズ著,竹内均訳の『自助論』の二冊に関連して。
『不機嫌な職場』は現代の職場おける構造の変化や職場に潜むさまざまな障壁といった,社員同士の協力を阻む要因を社会科学的に分析し解決の方向を考えるもの。そして,『自助論』はアダム・スミスやニュートン,シェークスピアをはじめとする有名,無名の先人の言葉を引用し,「自助の精神」の重要性を訴えるもの。この二つ,全く方向性が違うものなのですが相反するものではなくどちらも大切だと思う。
『不機嫌な職場』はプリンティングディレクターの坂本恵一氏からの推薦で,『自助論』は農学の研究者である義理の兄のレビューがきっかけで購入したものなのだが,たたき上げの熱血印刷マンの坂本氏から社会科学系の書物で,科学者である兄から百年以上前の教訓を取り上げたものがすすめられた点がちょっと不思議に思った。なんだか逆のような気がするのだが,そんなところもまた興味深いように思う。
「他者との助け合い」と「自助の精神」はどちらも大切なのだが,これまでがむしゃらに会社の生産体制の整備について取り組んできたので,これからは「自助の精神」で,自分自身のこと,自分の中にも潜む「でたらめ」から脱することを優先したいと思っている。自分のチームの中での小さな分化と統合の云々ようなことでなんとかやっていければと思っている。
『不機嫌な職場』は現代の職場おける構造の変化や職場に潜むさまざまな障壁といった,社員同士の協力を阻む要因を社会科学的に分析し解決の方向を考えるもの。そして,『自助論』はアダム・スミスやニュートン,シェークスピアをはじめとする有名,無名の先人の言葉を引用し,「自助の精神」の重要性を訴えるもの。この二つ,全く方向性が違うものなのですが相反するものではなくどちらも大切だと思う。
『不機嫌な職場』はプリンティングディレクターの坂本恵一氏からの推薦で,『自助論』は農学の研究者である義理の兄のレビューがきっかけで購入したものなのだが,たたき上げの熱血印刷マンの坂本氏から社会科学系の書物で,科学者である兄から百年以上前の教訓を取り上げたものがすすめられた点がちょっと不思議に思った。なんだか逆のような気がするのだが,そんなところもまた興味深いように思う。
「他者との助け合い」と「自助の精神」はどちらも大切なのだが,これまでがむしゃらに会社の生産体制の整備について取り組んできたので,これからは「自助の精神」で,自分自身のこと,自分の中にも潜む「でたらめ」から脱することを優先したいと思っている。自分のチームの中での小さな分化と統合の云々ようなことでなんとかやっていければと思っている。
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